相続手続きの流れ


下記以外にも場合によっては、遺族年金の請求、国民年金の死亡一時金の請求、医療費の還付請求、遺留分減殺請求、生命保険金手続きなどの手続きが必要となる場合もありますので、早めに相続手続きを進めることが大切です。

書類を揃えるだけでも一苦労、手続きが分からないなどお困りの方は、相続の相談窓口である当事務所へご相談ください。各専門家への紹介も可能ですので、安心してご相談下さい。

 

・死亡届の提出

故人が亡くなってから7日以内に死亡届の提出を行う必要があります。

死亡届は、戸籍法86条以下で届出が義務付けられています。親族・同居人・家主・後見人等であれば誰が提出しても構いません。

死亡届と火埋葬許可申請書を市区町村に提出すると、市区町村から火葬許可証が交付されます。それを葬儀社に持っていけば、葬儀等を行うことができるようになります。ただし、火葬は原則として死亡から24時間が経過しないと行えません。

市区町村に提出した死亡届は返却されないので、コピーするなど控えを残しておくと後々の相続手続きをスムーズに進めることができます。

 

 

 

・年金の受給停止手続

亡くなった方が年金受給者であれば、厚生年金は死亡後10日以内、国民年金であれば死亡後14日以内に、住民票の住所地を管轄している社会保険事務所にて、受給停止手続を行わなければなりません。

また、年金の支払いが一部未払いになっている場合もあります。これは年金の支払いが2ヶ月ごとなので、その前の受給から死亡するまでの年金が未払いになる場合があることによるものです。未払い年金がある場合には同時に、給付の請求も行います。


・準確定申告

被相続人が個人事業を行っていた場合、2000万円を超える給与収入があった場合、メインの給与所得以外に20万円を超える所得があった場合、不動産の賃料収入があった場合、株式や不動産などの売却収入があった場合、年の途中で退職して年末調整を受けていない場合、医療費控除などにより還付を受けることができる場合などに当てはまる場合には、被相続人に代わって相続人が準確定申告をする必要があります。

準確定申告は、相続があったことを知った日の翌日から4カ月以内に申告と納税をしなければなりません。

準確定申告の対象になる所得は、被相続人が亡くなった年の1月1日から亡くなった日までに発生していた分となりますが、被相続人が1月1日から3月15日までの間に前年分の確定申告を終えないまま亡くなった場合は、その前年分の確定申告も併せて申告する必要があります。

準確定申告自体をしていなかった場合や申告そのものをしていても後から税務調査などで間違いが発覚した場合には、罰則を受けてしまうこともあるので、注意が必要です。

 

 

・相続税の申告及び納付

遺産を相続すると、相続税の申告と納税が必要になる場合があります。

相続税には基礎控除があるので、基礎控除内におさまっている場合には相続税は不要ですが、基礎控除を超える場合には相続税の申告と納税が必要になります。

相続税の申告と納税には期間があり、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に行わなければなりません。

延滞すると、税務署から督促が来たり、利子税、延滞税などが課税されたりする場合もあるので、早めに手続きをすることが重要です。

 

 


・遺言書の有無の確認

遺産相続では、遺言書の有無によりその後の手続きの進み方が変わるため、まずは遺言書の有無を確認します。

遺言書がある場合は、相続人全員の合意があれば遺言書と違う遺産分割をすることも可能ですが、基本的には遺言書の内容にしたがって遺産を分けることになります。

遺言書がない場合は、相続人全員が集まり遺産分割協議をして遺産の分け方を決めることになります。

遺産分割協議後に遺言書が見つかると、既にまとまった遺産分割協議をやり直したり、遺言書と違う分割への同意を取ったりするなどの手続きが必要となる場合もあるため、遺言書の有無を確認することは非常に重要となります。

遺言書は、被相続人の机・タンス・金庫・銀行等の貸金庫などに保管されていることが多いので、まずは心当たりのある場所を探してみることが必要です。また、被相続人が公正証書遺言をしていた場合は、公証役場で遺言書の検索を行うことができます。

注意しなければならないことは、自筆証書遺言や秘密証書遺言を発見した場合には、勝手に開封してはいけません。まずは、家庭裁判所で遺言書の現状や存在を確認してもらうための手続きである検認を受ける必要があります。(公正証書遺言の場合には、検認の手続きは必要ありません。)

検認は、遺言書の現状を保全することにより遺言書の変造や隠匿、毀損などを防ぐことを目的としています。封入されている遺言書を検認せずに勝手に開封した場合は、過料の制裁が科されるおそれがあります。また、封入されていない遺言書の場合でも検認を受ける必要があります。

検認手続きを行う裁判所は、被相続人の死亡当時の住所地を管轄する家庭裁判所となります。検認を申し立てると、家庭裁判所が相続人に対し検認期日の連絡をします。検認期日に相続人が家庭裁判所へ出向き、出席した相続人の目の前で遺言書の開封と確認を行います。その後、遺言書の原本に検認済みの表示がなされ提出者に返還されるので、その遺言書で不動産の登記手続等を進めていくことになります。


 ・法定相続人の確定

被相続人の法定相続人となる人を確定します。

遺産分割協議は、法定相続人全員の合意により成立し効力を有することになるので、相続人が1人でも欠けていれば遺産分割協議が無効になる可能性があります。

そのため、相続人全員が分かる状況でも被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得し、本当に他には相続人がいないかを確認する必要があります。実は前妻との間に子供がいたり認知している子供がいたりする可能性もあるので、慎重に確認することが大切です。

 

 

・相続財産の調査

相続財産がどのくらいあるのか分からなければ遺産分割協議を進められないため、相続財産の調査を行います。

被相続人の自宅に預貯金通帳・カード・出資金の証書・不動産の登記識別情報通知書・固定資産税納付書などが保管されていないか探します。

また、不動産の調査では役所で名寄帳を取得することで、被相続人が名寄帳に記載されている市町村で所有している不動産を一覧で確認することができます。

 

 

 

・単純承認、相続放棄、限定承認

相続の対象となるものは、現金預貯金や不動産などのプラスの資産だけではなく、借金などのマイナスの資産も対象となります。

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った日から3カ月以内に、単純承認、相続放棄、限定承認のいずれかで相続することになります。

なお、この熟慮期間は家庭裁判所に申請することにより延長できますが、延長を申請する場合にも相続開始から3カ月以内に手続きを行わなければなりません。

 

<単純承認>

単純承認とは、プラスの財産もマイナスの財産も全て引き継ぐ相続方法です。

限定承認や相続放棄をする場合は、家庭裁判所での手続きが必要になりますが、単純承認をする場合は、特別な手続きは必要ありません。

しかし、相続財産の全部又は一部を処分した場合、限定承認や相続放棄後であっても相続財産の全部又は一部を隠匿・私的に消費・悪意で相続財産目録に記載しなかったなどの場合には、相続人の意思とは関係なく単純承認したものとみなされ、それ以降は限定承認や相続放棄をすることができなくなります。

 

<限定承認>

限定承認とは、相続した財産の範囲内で借金などのマイナスの資産も相続する相続方法です。

限定承認をする場合は、家庭裁判所での手続きが必要になります。また、共同相続人全員で手続きをしなければならないので、相続割合で揉めたりしてしまうと、かなりの時間が浪費されますから早めの対応をする必要があります。

 

<相続放棄>

相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しない相続方法です。

被相続人の債務が多額にある場合は、相続人は相続放棄を選択するケースが多いです。相続放棄の期限は、相続があったことを知った日から3カ月以内となっており、家庭裁判所での手続きが必要になります。

 

 

 


・遺産分割協議

遺産分割協議は、全ての相続人が集まり、遺産分割の方法を話し合い、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書の作成の期限は決められていませんが、不動産の相続登記を行う際には遺産分割協議書の提出が求められます。遺産分割協議書には、必ず相続人全員が署名押印する必要があります。

相続人の中に未成年がいて、その親も一緒に相続人になる場合は、未成年の特別代理人を選任する必要があります。また、相続人の中に認知症などで判断能力が無い人がいる場合は、成年後見の申立をして後見人をつけてもらう必要があります。

相続人同士が集まり遺産分割の方法を話し合っても意見が合わない場合や相続人のうち一部が遺産分割協議に参加しようとしない場合には、協議により遺産分割方法を決めることができないため、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。

遺産分割調停では、家庭裁判所の調停委員が間に入って遺産分割の話し合いを進め、相続人全員が遺産分割方法について了承できれば、その内容で遺産分割協議が成立し調停調書が作成されます。調停でも相続人の意見が合わない場合には、遺産分割調停は不成立となり遺産分割審判となります。

遺産分割審判では、各相続人が自分の希望する遺産分割方法を主張し、立証資料を裁判官に提出します。そして、最終的に裁判官が主張と立証資料を鑑みて、妥当な遺産分割方法を決定し、審判で決まった内容が審判書にまとめられます。