富山県のCCUSなら行政書士林美貴子事務所へ
建設キャリアアップシステム(CCUS)とは、建設現場で働く技能者の保有資格、社会保険加入状況、現場の就業履歴等の情報を登録し蓄積することで、技能の公正な評価、工事の品質向上、現場作業の効率化等に活用するシステムです。
建設キャリアアップシステムは、技能者の能力・経験等に応じた適正な処遇改善につなげること及び技能者を雇用し育成する企業が伸びていける業界環境をつくることを目的としています。
日本の就業者人口減少が進んでいくなかで、建設業においても現場を担う技能者を確保することが重要となっており、技能者のキャリアパスを明確にして若い世代の入職者を増やしたいということが、建設キャリアアップシステムができた背景となっています。技能者の入職を進めるためには、生涯を通じ魅力的な職業・産業であることを示すことが大切ですが、技能者の能力が統一的に評価される業界横断的なシステムが存在していませんでした。そのため、異なる事業者の様々な現場で経験を積むことも多い技能者とっては、適切に能力評価されずスキルアップしても処遇向上に結び付かないことが構造的な問題としてあり、このような現状を変革するために、建設キャリアアップシステムが構築されました。
現時点では、CCUSと建退共との連携、社会保険加入確認でのCCUS活用、国や地方公共団体による公共工事での活用、ハローワークや公共職業能力開発施設において建設業への入転職を目指す求職者に対しCCUS登録企業への応募勧奨、経営事項審査においてCCUSの活用状況を加点対象とする等CCUSが活用されていますが、今後さらにCCUSの活用範囲が拡大していくと見込まれます。
外国人労働者の登録義務化
CCUS登録については、原則義務ではなく任意ですが、例外として、外国人を受け入れる事業者は、事業者登録及び外国人本人の技能者登録が義務付けられています。特定技能外国人だけでなく、2020年1月からは、技能実習生及び外国⼈建設就労者についても登録が義務化されました。
義務化された背景には、建設業界での外国人従事者数は、他の産業と比べて増加している一方で、失踪者数が多い業種であるといった深刻な問題がありました。失踪者数が多い原因として、低賃金、賃金が安定しない、労働時間が長い等の労働者の処遇に関することに加えて、様々な工事現場で就労するために就労管理が難しいということも考えられます。建設キャリアアップシステムの登録を義務化することにより、就労管理を容易にし、就労環境の改善に繋げることが期待されています。
事業者ID発効までにかかる日数
申請内容に不備がなく、審査完了後に登録料を滞りなく支払った場合には、約1カ月で事業者IDが発行されます。ただし、登録した情報が提出証明書類と整合性がつかない場合や誤りがある場合には、不備メールがあり該当箇所を修正したうえで再申請をすることになるため、さらに日数がかかります。
キャリアアップカード発効までにかかる日数
申請内容に不備がなく、審査完了後に技能者登録料を滞りなく支払った場合には、約1カ月で技能者IDが発行され、その後にキャリアアップカードが発送されます。ただし、登録した情報が提出証明書類と整合性がつかない場合や誤りがある場合には、不備メールがあり該当箇所を修正したうえで再申請をすることになるため、さらに日数がかかります。
また、国土交通省が2023年度からの建退共のCCUS完全移行及びそれと連動したあらゆる工事におけるCCUS完全実施を目指しているため、2023年度に向けて技能者登録申請が混みあってしまい、さらに時間を要する可能性があります。
キャリアアップカードの有効期限
キャリアアップカードの有効期限は、キャリアアップカードの発行日から約10年(キャリアアップカード発行9年経過後の最初の誕生日まで)ですが、申請時60歳以上の方の有効期限は約15年(同14年目の誕生日まで)です。なお、本人確認書類が未提出の方は約3年(同2年目の誕生日まで)です。有効期限内に紛失等をした場合には、再発行ができますが、再発行手数料がかかります。
メリット
事業者のメリット
技能者のメリット
デメリット
CCUS登録後は、登録情報に変更がないか確認することが大切です。下記の場合には、変更申請が必要となります。
事業者情報が変更した場合
建設業許可を取得していない事業者が、登録した所在地、電話番号、代表者等を変更した場合には、変更申請が必要です。一方、建設業許可を取得している事業者が所在地等を変更した場合は、県等の許可行政庁に変更届を提出すると国交省のデータベースが変更され、自動的にCCUSに情報が反映されるため、変更申請は必要ありませんが、健康保険や厚生年金番号等自動的に情報が反映されない箇所もあります。それらについては、変更申請が必要になります。
また、建設業許可を取得している事業者であるかどうかにかかわらず、技能者登録を行った際に紐づけした事業者情報は、事業者情報を変更しても自動的に変更されないため、緊急連絡先等を事業者にしている場合には、技能者登録側の情報を変更する必要があります。
事業者情報が変更した場合には、事業者登録・技能者登録それぞれに変更申請をする必要があるので、忘れずに両方の情報を変更することが大切です。
技能者が雇用された場合
・事業者側が行う手続き
事業者は、雇用した技能者が建設キャリアアップシステムに登録している場合、技能者IDを新しい雇用先で引き継ぐために事業者と技能者の紐づけをする必要があります。技能者情報に事業者IDが紐づけされていない場合、作業員名簿の作成時などに新たな雇用先での所属技能者として表示されないため、きちんと登録することが大切です。
なお、雇用した技能者が建設キャリアアップシステムに登録していない場合には、新たに技能者登録が必要です。
・技能者側が行う手続き
技能者は、以前の会社で技能者登録をした場合は、同じ技能者が複数の技能者IDを持つことはできないため、既に登録している技能者IDにログインし、所属事業者や社会保険等の情報を変更する必要があります。
前述したように建設キャリアアップシステムに登録している技能者が転職した場合には、所属事業者を変更しなければなりませんが、新たな所属先により技能者が行わなければならない手続きが異なります。新たな所属先がCCUSに事業者登録がされている場合、新たな所属先で関連付けをしなければなりません。一方、新たな所属先がCCUSに事業者登録がされていない場合には、事業者と技能者を関連付けすることができませんが、転職先を新たな所属先として登録します。また、新たに所属する事業者が決まっていない場合には、所属する事業者をなしにして登録します。
注意点として、所属事業者を変更すると社会保険情報がリセットされるため、新たな所属先での社会保険情報の入力や加入証明書類の添付が必要になります。そのため、各種社会保険の加入手続き完了後に変更申請を速やかに行うことをお勧めします。
技能者が退職した場合
・事業者側が行う手続き
技能者が退職した場合、事業者は退職した技能者に建設キャリアアップカードを渡し、事業者と技能者の紐づけを解除することが必要です。
・技能者側が行う手続き
技能者が退職した場合、所属事業者の設定を解除するとともに、技能者情報の建設キャリアアップカード送付先住所、緊急連絡先住所、メールアドレス等が以前の所属事業者になっている場合には、その情報を変更する必要があります。カード送付先住所やメールアドレス等を以前の所属事業者のままにしておくと、カードの再発行を行った際に誤って以前の所属事業者に送付されてしまうことになったり、退職後も以前の所属事業者に技能者の更新情報等がメールで通知されてしまうことになったりと、トラブルに繋がってしまう可能性があるので、変更が必要な箇所はきちんと変更申請することが重要です。
能力評価制度(レベル判定)とは、建設キャリアアップシステムに登録されている技能者の技能と経験を国土交通大臣が認定した能力評価基準に基づき、能力が評価される制度です。能力評価基準をクリアした場合には、キャリアアップカードが判定されたレベルに応じ、白からブルー、シルバー、ゴールドのいずれかに変更されます。
能力評価は、分野ごとの各能力評価実施団体が行っているため、申請先や手続き等が能力評価実施団体によって異なっている場合があるため、事前に確認したうえで申請をすることが大切です。